赤字ローカル線の廃止になぜ反対するのか?【廃止すべき?】
電車に乗らなくなって早10年以上、カスカスです。
さて、最近ニュースで話題のネタと言えばJRの『赤字ローカル線』存続問題。
2022年JR西日本を皮切りにJR各社が赤字ローカル線の収支を公表しましたが、多くの路線で赤字となっており、厳しい現実が浮き彫りに。
それ以降、JRと自治体で「廃止か存続か」に向けた協議が行われていますが、もちろん平行線。
赤字部門を切り離すのは会社として当然ですが、なぜ一部の人や自治体は赤字ローカル線の廃止に反対するのか?
赤字ローカル線沿線に住んでいる私が考えてみます。
赤字ローカル線の廃止になぜ反対するのか?
JRが路線別収支を公表したことにより加速した『赤字ローカル線廃止論争』
普通の人からすれば、
と思いたくなりますが、そんな簡単なものではないようです。
なぜ赤字ローカル線の廃止に反対するのか?
その理由は以下の2つ。
・災害時の輸送手段だから
地域の衰退を招くから?
『ローカル線廃止=地域の衰退を招く』ということで、廃止に反対する自治体も多くあると思います。
確かに、鉄道が地域の活性化に大きく貢献してきたのは否定できません。
街づくりゲームでもそうですが、基本的に鉄道を中心に発展します。
駅があれば人の流れが生まれ、周辺に事業所や店が建つ。
・・・というのは、昔の地方もしくは都会の話。
今となっては駅前に寂れた商店街、廃屋が立ち並んでおり、駅があるから地域は元気とは言えない現状。
そもそもローカル線が赤字ってことは、沿線自治体も過疎化が進む地域であり、すでに衰退しているわけで。
実際に地方では自家用車を持つ人が増えているので、駅周辺よりも郊外が発展しています。
鉄道が地域を活性化させるのは昔の話であって、下手に鉄道があることで逆に地域を衰退させている可能性もあります。
災害時の輸送手段だから?
もう一つの反対理由として、『ローカル線が災害時の輸送手段になる』ってことです。
例えばガソリンが手に入らなくなった東日本大震災では、ローカル線が重要な移動手段となった過去もあります。
また、ウクライナ戦争でも分かる通り、鉄道が人とモノを輸送する重要な手段であることが証明されました。
今回の赤字路線の中には貨物輸送を担っている路線もあり、廃止によって物資の輸送が途絶えるのでは?という懸念もあります。
とはいえ、鉄道が災害に弱いってのも事実。
実際に貨物列車の走る青森県の津軽線は、大雨被害により土砂が崩れて不通になるという事態も。
地震や津波で甚大な被害を受けた路線もあります。
いつどこで起こるか分からない災害のために、赤字路線を存続するのはどうなんだろ?とも思うし、大規模災害が起きれば鉄道も甚大な被害を受けると思うわけです。
赤字のローカル線は廃止すべき?
鉄道は地域のシンボルであり観光資源でもあるので、無くしたくない気持ちは沿線住民として痛いほどわかります。
赤字ローカル線を廃止することで、衰退している地域がさらに衰退する可能性もあります。
特に観光地なんかは鉄道を移動手段として訪れている人も多く、廃止は地域経済に大打撃だと思います。
しかし、「じゃあ電車に乗るか?」と言われれば「ノー」だし、「地元負担でOK?」と言われれば「もっとノー」。
実際に地方で電車に乗る人って学生か通院の高齢者くらいで、働き盛りの人たちはほとんど乗らない。
車が当たり前となって地方では、鉄道の存在意義って薄れてしまっていると思います。
今まであったものが無くなるのは悲しいですが、これも“時代の流れ”と捉えて、赤字ローカル線廃止を前向きに考えた方がいいのではないかと思います。
自治体が反対する気持ちも分かる
路線の存続についてJRと自治体が協議したニュースのコメント欄を見ると、廃止に反対した自治体を非難する人たちが多くいます。
私が思うに、自治体も分かってると思うんです。
存続は無理って。
でも一人でも乗る人がいれば反対せざるを得ないし、簡単に「はい」と答えるよりも反対して少しでも可能性を引き出したいでしょうから。
でも自治体も単に反対するだけでなく、根拠を持って反対すべきとも思うわけです。
過疎化が進み電車に乗る人がいない現状では、このまま存続していても赤字は解消されません。
だったら自治体が率先して金銭的な支援したり、駅周辺にハコモノ作って人の流れを作り、自然と鉄道利用者を増やす方向に持っていけばいいと思うんです。
何もせずに「鉄道を残せ」というのは違う気がします。
もちろんJR側もただ単に「廃止します」ではなく、今後の鉄道施設の利用方法や輸送手段も含めて自治体と協議してもらいたいと思います。
一度廃線にすれば復活の見込みはないでしょうから、少しでも黒字の可能性があるのであれば残して欲しいものです。
最後に
JRが赤字路線公表に踏み切ったのは、自治体と危機感を共有したいからだと思います。
「鉄道は利用されないと廃線する、あるのが当たり前だと思わないで欲しい」
そんなところでしょう。
正直言って、赤字ローカル線はぱっぱと廃止にした方がいいと思います。
というか一般企業であれば、赤字部門を手放すのが普通。
しかしJRは一般企業とはちょっと違い、準国営企業。
地域の生活インフラであり、人・モノ・お金を運ぶ国益を生み出す大事な手段。
国としても出来ることなら廃止にしたくないはず。
『赤字ローカル線廃止』というネガティブな言葉ですが、これ機に“あるのが当たり前”だと思っていた鉄道を見つめ直すことも大事かもしれません。
ディスカッション
コメント一覧
鉄道は省エネルギー=脱炭素化を進めるのに必要な交通機関となるのではないでしょうか。都市の高層化と鉄道利用ではどちらがエネルギー的に効率的かは分かりませんが都市の高層化にも限界があると思います。
また、今でこそモータリゼーションが繁栄していますが、これからは少子高齢化も進み少ない人で多くの人を運ばなくてはならなくなってくると思います。今、廃止すると今後に影響が出てしまいます。
さらに、貴方も書いていた通り災害や戦争時の物流の大きなルートとしても活用できます。できるだけ鉄道網を維持することにより必要な場所の近傍に大量輸送が可能となります。
もちろん、駅周辺の土地利用の観点から病院、学校、行政機能等の集中化は必要でしょうが、鉄道は可能な限り残してゆくほうが良いように思われます。
コメントありがとうございます。
最近では、運転手不足が騒がれているトラック輸送の代替として鉄道利用も活発になっているようですね。
そういった新しい利用方法も含めて、自治体・JR・国が連携して考えていってほしいものです。